TPPに関して

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定 ”Trans Pacific Partnership”)の議論が煮詰まって来ています。当内でも経済連携PTにおいて連日議論が交わされております。私もできる限り出席して各種団体のヒアリングや議員間討議にも参加して参りました。結論から申し上げますと私は少なくとも交渉には参加すべきと考えており、かつできるだけ早い交渉参加の意思決定が必要だと思っています。

推進派と反対派それぞれの主張は的を射たものも多く、一部の感情論を除きどちらが「正しい」かという正誤判定の議論ではないと思っています。関税障壁が低くなれば壊滅する農業分野が出る可能性は否定できません。しかも現段階で交渉の内容が明らかになっていない以上、分からないまま参加すべきか否かは決定できません。だからこそ交渉に速やかに参加して現状を把握しつつ、日本の国益をぶつけて行くべきだと思います。

交渉に参加したら抜けられない云々の話がありますが、抜けるか否かは日本の意思次第です。そもそも、交渉参加国の全会一致の承諾を取って確実に交渉に参加できる保証はありません。交渉から抜けたら日本の外交的損失が大きいとの主張もありますが、それは当然のことです。一方交渉に参加しなくても外交的損失もあります。そのどちらが大きいかは定量的に判断できません。但し、日本は納得の行くまで徹底的に交渉すべきだと考えます。WTOのドーハラウンドも2001年から交渉を始めて未だに妥結しません。徒に長引かせる態度は問題外ですが、国の方向性を決める問題をどの国も簡単に決められるはずはありません。

また、交渉の結果は条約締結と同じく国会の批准を必要としており、最終的には立法府に決定権限があります。交渉に参加し徹底的に議論を尽くした上で、国民の代表たる国会で詳らかに審議をして、日本の国益に適うか否かの最終判断を行うべきと考えます。TPPに参加したら云々は全て交渉の結果が定まってから判断しうることであり、それまでの全ての議論は推測、仮定の域を超えるものではありません。

むしろ政府も与党も交渉に参加して何をどう取るのかという作戦を早く立てるべきと考えます。なぜなら交渉は全てがパッケージであり、農業単体、工業単体でどうこうと決められません。全てをテーブルに載せた上での取捨選択になるからです。

なお、ものづくりの中心地である大田区の代表として、当然のことながらTPPが地元に直接間接に与える影響について関心を持っています。工業分野に関しては輸出拡大ばかりが議論されますが、交渉24分野の中の「環境」や「TBT(技術的障害)」にも留意しなければなりません。日本はこれらの分野で、例えば工業排水や煤煙などの基準に関して諸外国と比較して規制が厳しく、規制緩和の要請もある一方で優位性を保つ要素でもあります。これら規制あるいは基準が非関税障壁とみなされないよう交渉に臨む必要があります。他方レア・アースなどの原材料輸入分野では各国が競ってその確保に邁進している状況であり、日本がオーストラリアやチリなどの鉱物資源が豊富な国々との間の貿易が活発化することは望ましいことであると考えます。

これら各論は交渉に参加すれば今後次々と提起されるはずで、それらをきちんと踏まえた交渉体制を築かなくてはなりません。しかも、153ヶ国が加盟するWTOのような大きな枠組みではなくとも、多国間交渉であることは変わらず、いかに仲間作りをしていくかという戦略も重要になり、二国間交渉より遥かに難易度が高く複雑なものになると思います。

いずれにしても、大きな流れで世界各国は自由貿易へと向かって行くことは間違いありません。TPPも最終系ではなく、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)構想の実現のための過渡的な枠組みとなる可能性も大いにあります。その際、TPPに交渉参加せず、FTAAPの枠組みや他国とのFTA/EPAを推進して行くべきだという意見もありますが、それは違うと思います。

TPPだけが原則関税ゼロということで異質だという議論もありますが、各国の経済連携の必要性が日増しに高まっていく現状からすれば、今後の貿易枠組みも質的に高い連携の枠組みが提唱されると考えるべきです。通貨統合まで視野に入れたアジア版EU構想が提唱されても何ら不思議ではないはずです。その際日本がもしTPPの交渉の積み重ねがなければ蚊帳の外に置かれてしまいます。

いずれにしても、APECの会合で交渉参加を表明できるよう早期に結論を得ることを求めます。

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